職場不適応について
職場不適応とは、働く人がその職場にうまく適応出来ず、苦しみ悩むことで正常な働きが継続して出来なくなる状態です。
職場不適応の状態は多々あり、いろいろな徴候が出ます。
職場の側から見ると、作業能率の低下、失敗の増加、事故頻発、遅刻や早退の増加、頻回の欠勤、勤労意欲の減退、対人関係のトラブル、疾病多発、問題飲酒やギャンブル、口論・けんか・サボるなどの問題行動、自傷他害などの形で現れます。
働く側は、強い不適応感、自己不全感、挫折感、自尊感情、フラストレーションで不平不満の増加、過度の不安感、易疲労感、意欲減退などに悩むことがあります。これらの状態は具体的な症状として現れます。その症状とは、頭痛・頭重感、めまい、耳鳴り、不眠、全身倦怠感などを単独または複数出現します。
不適応の状態は、一時的なものと、不適応が長く続くものとがあります。潜在的な不適応状態の方もいて、一見適応しているとみえる状態でも、不合理な問題解決による不健全な適応のあることを見逃していることもあります。一時的な不適応は、就職時や移動などの仕事に慣れるまでのある期間に於いては、誰でも経験することで、自分自身で克服すると自信に繋がります。
一方で長引く不適応の原因には、個人のもつ問題と職場の条件による問題があります。
個人のもつ問題は、職場と適正の観点から考えることが出来ます。仕事に適性があるという場合には、能率よく質の良い仕事が出来て、失敗が少なく安定性があり、進歩発展の可能性があります。働いていて、仕事の役割を通して、心理的欲求が満たされ、個性が発揮でき、自己価値が上がることなどが仕事に対しての適性がある状態だと言えます。
つまり、環境としての職場と個人のパーソナリティーや価値観、自己実現できる可能性との適合性から双方不一致の場合が職場不適応として現れます。これらの不適応の原因の中には、職業選択の問題、配置転換の問題などが考えられます。
職業選択については、誰しも自分の希望通りの仕事に就ける訳ではなく、また適応があるかどうか、合っているかどうか、やりたい仕事が何なのか、など悩んでいる人は少なくありません。また、不本意ながら仕事をしているうちにその職業が好きになっていくこともありますし、働きやすい環境によって適応できることは少なくないと考えられます。
反対に、ある職業や職場に対して、一定のイメージや期待を持って就いたにも関わらず、現実と不一致でギャップを感じることで不適応になることもあります。また、大企業ということだけで就職した場合には、大きい故に全体像を見失い取り組んでいることの成果が見えづらかったり、途中でプロジェクトが変更になり取り組んでいた仕事の意味を見失い不満が募ることなども不適応になる誘因に成り得ます。
他によくあるきっかけとしては、配置転換が挙げられます。
昇給や昇進など、良い条件であっても配置転換や移動・転勤などは、大きな影響があります。新しい職場や仕事に対して、適応できるだろうかとの不安、人間関係の構築、住む場所への適応や家族の生活の変化へのサポートなどは、大きな変化として不適応に繋がる要素が沢山あります。現在は昇進や転勤を望まない人が増えていると言われています。
職場不適応を起こす原因の中には、本人の精神障害によるものもあります。個人に内在する内的要因と環境要因との間の相互作用の結果、発病を誘発する場合があります。職場での環境条件と個人の遺伝因子や退室因子は複雑に関連し合うと考えられます。
日本社会の経済的な変遷と共に働き方が見直されています。終身雇用の考え方は崩れ、人生設計には転職も組み込む必要が出てきました。終身雇用であれば、就職した企業内での役割を求められるままに全うすることが重要な役割でしたが、それよりも自分にしか出来ない仕事や質の良い仕事を求められるようになっています。また、バブルの頃のような経済発展はなくなり、資本主義の考え方をシフトしている最中でもあります。
職場内の人間関係
職場内の人間関係は、企業内での役割分担があります。社長・会長・重役・理事長・部長・課長・係長・主任などです。その中で、リーダー1名に複数名の同僚というのが、最小のグループを作り、それぞれの目標に向けて仕事をしていくのが一般的です。この職場での人間関係には、制度的に規定されている縦の関係(上司と部下)と横の関係(同僚)の関係があります。そのような関係の構図で、良い人間関係を保って働くには、①自己を冷静に客観的にみつめるような視点を持つ②過大評価や過小評価を避ける③一貫した態度で全力を尽くす。④他人と調和して協調できること、と言えます。人の心は常に揺れ動いているものですから、対人関係は実に複雑なのです。時には、一方的な感情のもつれや理解しあえないぎりぎりの状況に追い込まれることもあります。そのような時に、お互いに悩みや苦しみを共有して、方向性を見いだす努力ができたなら良い相互関係になり、適応状態を自らの力で獲得していくことにつながります。
職場には、仕事によって結ばれた仲間同士の私的人間関係もあります。これは共通の趣味があったり、気が合ったりして、職場以外でも交流をする状態です。
心地よい人間関係は、幸せ感にもつながり仕事への適応能力を高めると言えます。
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