愛着(アタッチメント)障害の影響
愛着(アタッチメント)という言葉を知ってますか?
簡単に言うと、赤ちゃんの頃に与えられた安心感・信頼感です。
生きづらさの大きな要因である可能性が高い、愛着について知っていると、大人になってからもその影響がかなり大きい事が解ります。人間関係に悩んでいる要因が少し見えるかも知れません。
生まれた時の赤ちゃんは、全て養育者に依存して生きています。その為、泣く、目で追う、後を追うなど、愛着行動を養育者に伝えます。
子どもからの愛着行動を養育者が受け取り答えることで、安定した愛着が形成されます。安定した愛着が形成されることにより、子供にとっての安心できる安全な場所が出来ることになります。
この安全な場所が出来ることによって、子供は周囲に関心を持ち勇気を持って世界を広げていきます。この探索行動は、安全な場所、守ってもらっているという安心感が強ければ強いほど、世界を広げていくことが出来ます。危険なことがあれば、安全が守られている場所に戻れば良いと思えるからです。
生まれたばかりの子供にとって何よりも重要なのは、危険を避けて成長できる安全な環境です。でもそれだけでは、広い社会で生きていくことは難しいです。ときには、安全な場所を離れて自分の世界を広げる必要があります。可愛い子には旅をさせよという言葉がありますよね。
安全な場所や人と安定した関係が築けなかった子供は、人との適切な距離が解らず、打ち解けなかったり、過剰に馴れ馴れしくしたりします。虐待されているかどうかの参考になりそうですね。
子どもは一度、探索を始めてからも、危険を感じると繰り返し養育者の元に戻り、緊張を解き愛情を補給し、安心を感じながらまた探索に出掛けます。思春期の子供が不安定なのは、この時期にいるからです。
大切なのは、自分で探索することです。養育者はついつい安全に、と思ってしまいアドバイスをしがちですが、子供にとって必要なのは養育者に受け入れられること。子供の話をただ聴き、辛い思いや哀しい思い、嬉しい思いを共有することです。
目と目を合わせ、笑みを交わし、スキンシップでこころを弾ませながら、人と人はどのようにコミュニケーションをとると気持ちがよいのか、文字通り身をもって体験し、愛情のやりとり、キャッチボールの仕方を学んでいきます。これが健全で安定した愛着形成の一プロセスです。
安全が守られ、安心感を与えてくれる養育者がいる場所があるから、探索できるのです。子供が社会的・精神的に健全な成長を遂げるためには、安全・安心を保証してくれる確かな存在と親密な関係を維持し、安定した愛着を築かれければならないのです。
仮に親がそばにいないような場合でも、しっかりと愛着が築かれていれば、「自分は守られている、愛されている」というイメージを思い描くことによって、安心感を保つことができるようになります。
また、親以外でも自分のことを気にかけ、同じような愛着を示し、自分と接してくれる人がいるということを学び始めます。つまり、愛着を基盤にして、親と同じように自分に接してくれる相手は安心していい、自分を助けてくれる人は、親以外にもいる、といいったことをだんだん理解するようになっていきます。
それと同時に、一人で物事に対処していく力やスキルも徐々に身につけ、他人と助けあう事を学びながら社会のなかで自立していきます。
安心感は強く感じる程、安定します。不安なときにさっと差し伸べられた手、抱っこしてもらったぬくもり、温かなまなざし、笑顔・微笑み・やさしい言葉、それらこそ、子供のこころの成長に欠かせない栄養源です。抱っこされている子供の顔が勝ち誇ったような、満足感のある表情なのは良く見ますね。
さて、ここまでは子供の頃の愛着形成について、お伝えしました。では、子供の頃に適切な愛着形成がされない、または少ない状態で大人になった場合はどうなるのでしょうか。
愛着障害という概念は比較的新しい考えで、十分に研究されているとはいえないのですが、精神疾患ガイドラインの分類に示されている特徴は理解しやすいと思います。
反応性愛着障害は、対人関係の中で適切な反応ができず、自分の世話をしてくれる人に対して強い警戒心を持って素直に甘えられません。子供の頃、養育者と愛情のコミュニケーションが出来なかった為に他人全般を信用できなくなっていると考えられています。誰かを信頼する、人に甘えるという経験値が極端に低いため、自分に向けられる愛情や好意に対しても、怒りや無関心で応じてしまうのです。
脱抑制型対人交流障害は、他人に対する愛着はあるものの、特定の相手に対して愛着を示す能力が著しく欠如しています。誰かれかまわず愛着を求め、愛情を振りまく為、一見社交的に見えますが、他人に対して無警戒で、相手をよく吟味しない傾向にあります。
初対面の相手に馴れ馴れしくふるまったり、周囲の人に過剰な愛情を示したりするため、かえって警戒されたり疎まれたりすることが多いようです。本人は自覚がないので、時に傷ついたり、思わぬ危険に巻き込まれることがあります。
このように、愛着障害と対人関係は密接に関連があります。では、大人になってからの解決方法はあるのでしょうか。
解決方法はあります。
とても大変です。子供の頃から誤った感覚で対人関係の経験を重ねて、殆どの人がかなり頑丈な鎧を常にまとっている状態になってますので、鎧を外すのは時間がかかります。
でも、一番重要な入り口である、気づきや疑いを持ったあなたは、絶対楽になる、と決めたいはずです。
決めたら(決めなくても)、次のステップは、是非信頼できる人の手を借りて欲しいと思います。話をするだけで、気づくことが出てきます。
最終的には、セルフケアができるようになって欲しいと思います。
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